2009
08.07
08.07
小さい頃、祖父の家に行くのが大好きだった。
祖父が趣味で集めている古書を、倉庫の中で1人静かに読んでいると、僕だけがぽっかりと開いた穴の中にいるようで、少し怖くて楽しい時間だった。そんな僕の夢は古本屋開業。
そんな夢をようやく叶えることができた。
“古本屋開業します”
店の地図とそう一言だけ書いた葉書をほんの少しの人にだけ送った。僕の作り上げたこの世界を、きちんと理解してくれている人だけに、最初は見てもらいたかった。
オープン初日、最近会っていない友人がたずねてきてくれた。平日だというのに、わざわざ休みを取ってくれたのだろう。ありがたい。
「久しぶり。お前、ちっともかわんないな」
そう言う姿が昔とちっとも変わらなくて、僕はなんだか感動した。
カンジいいなぁと独り言をつぶやきながら、店内を物色する友人。
「おめでとう。お前かっこいいよ」
恥ずかしげもなくそう言ってくれた友人を、祖父にも見せたかった。
祖父の夢、僕の夢、僕と祖父の夢の城。
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